耳鼻咽喉科・アレルギー科・気管食道科 医療法人社団くまいクリニック

喉頭腫瘍


発声、嚥下、呼吸などの重要な機能を担っている喉頭に腫瘍ができるとどうなるでしょう。咳が長く続いたり、大声や長話、カラオケでの熱唱の後によく声が嗄れることがありますが、何日かすると元の声に戻るのが普通です。でも、声のかすれが元に戻らないときは要注意です。これは左右の声帯がきちんと閉じられないような状況が起きているか、声帯がうまく振動しないからです。良性や悪性の腫瘍にかかわらず声帯に腫瘍ができれば、1mm以下の大きさでも嗄声(させい=声がれ)喉頭腫瘍が起こるので、早期発見がしやすいことがあります。 声門以外にできた時にはかなり大きくならないと息くるしさや飲み込みずらさなどの症状がでないので注意が必要です。腫瘍が大きくなると、物が飲み込みずらくなったり、むせ易くなったり、咳が多くなってきます。喉頭の良性腫瘍には、声帯ポリープ、謡人結節、ポリープ様声帯、乳頭腫などがあります。いずれも治りにくい時には顕微鏡下に口の中からの手術や、甲状軟骨(喉仏があるところ)を外から切る手術が必要になります。悪性はほとんどが癌腫である扁平上皮癌です。発癌頻度の男女比は9:1で、男性に多い癌です。嗄声、嚥下障害などの症状で発見されることもありますが、偶然に見つかることも多いものです。大気汚染やタバコなどの外的因子が影響しているという報告もあります。治療は、小さいものであれば、切除の上、放射線治療で完全治癒させることもできます。進展している症例では、喉頭を半分または全部取らなければならないこともあります。必要に応じて、頚のリンパ節を根こそぎ取る手術(根治的頸部郭清術)や食道の一部を一緒に切除しなければならないことも起こります。それと同時に、胃や腸を吊り上げて、食道の部分を再建する手術も必要になります。喉頭を取ると通常の音声が喪失してしまいますので、食道を使った食道発声や代用音声の取得が、次の課題になります。どんな癌も早期発見、早期治療が大原則です。喉頭も例外ではありません。特に、外からは見えないところですので、のどの調子がすこしでもおかしいと思ったらすぐに、また、タバコを吸われる方などは、症状がなくても検診の意味で年に一回くらいは耳鼻咽喉科専門医で咽喉頭の診察をお勧めします。

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