耳鼻咽喉科・アレルギー科・気管食道科 医療法人社団くまいクリニック

耳よりなはなし


今回は「耳」の話をします。耳は五感のひとつですが、機能的には音を聞くことと体の平衡を司っています。耳からの情報は、きこえの神経(蝸牛神経)と平衡感覚の神経(前庭神経)が合わさった第8番目の脳神経で脳へ伝えられます。日頃、私達は「耳」がついた言葉をよく使っています。「耳を傾ける」(注意して聞く。熱心に聞く。)、「耳を澄ます」(注意して聞こうとする。耳をそばだてる。)、「耳が肥える」(音楽などを聞いて、理解したり優劣を判断したりする力がある)、などなどです。急性中耳炎ではよく耳が痛くなりますが、「耳が痛い」といえば、自分の弱点にふれられて、聞くのがつらいという意味なのはご存じでしょう。また、寝耳に水という言葉があります。「寝耳に水の入るごとし」の略で、だしぬけにおこった出来事に驚くことのたとえですが、実際に、鼓膜に穴が開いていない人の耳に水を入れると、体温(37.0OC前後)と同じ温度でなければ、めまいを起こします。寝込んでいる人の耳の中に冷たい水を入れるとめまいを起こし、びっくりして飛び起きるに違いありません。それは、体の平衡感覚を司っている三半規管の神経の周りのリンパ液が温度変化によって対流を起こし神経終末(有毛細胞)を刺激するために起こる変化です。でも、決して耳鼻科医以外の方は試さないようお願いします。次回も耳鼻咽喉科・頭頸部外科領域の「耳よりなはなし」(興味をそそるような内容であるはなし)をお話ししようと思います。聞こえないことがどんなに不便かを体験するには耳栓をして街を歩いてみることです。どんなにコミュニケーションがとりずらく、身の危険を感じるかがわかるでしょう。

耳寄りなはなし:〔その話が〕興味をそそるような内容であるようす。
       「―なもうけ話」
耳年増:若くて経験もないのに、聞いた知識で(特に、性について)
       ませたことをいう女。
耳が早い:うわさなどをすばやく聞きつける。みみざとい。
耳に入れる:(1)聞きこむ。「面白い話を―・れた」
       (2)人に聞かせる。告げる。「一応上役の―・れておこう」
耳に逆らう:不愉快に聞こえる。「忠言―・う」
耳に胼胝ができる:同じ事を繰り返して聞かされてうんざりする。
耳につく:(1)声や音が耳元に残って・忘れられない(気になる)。
       「電車の音が―・いて眠れない」
       (2)新鮮味が失われて、聞くのがいやになる。
耳を疑う:〔あり得ない話、思いもかけない話などを聞いて〕
       聞き違いではないかと思う。
       「一瞬―・う」
耳を貸す:(1)人の話などを聞く。また、聞こうとする。とりあう。
       「陳情に―・す」
       (2)聞きやすいように、相手の口に耳を近づける。
       「ちょっと―・してくれ」
耳を揃える:まとまった金額の、全額をまとめる。
耳を劈く:鼓膜コマクを破る。〔声・音のけたたましいようすの形容〕
       「―・く雷鳴」
耳打ち:相手の耳元に口をよせて小声で話すこと。耳こすり。耳語ジゴ。
       「ひそひそと―する」
耳学問:聞きかじって得た知識。
耳擦り:(1)耳打ち。 (2)あてこすり。
耳聡い:物音や声などを聞きつけるのがすばやい。聴覚が鋭い。
       「―・く聞きつける」
耳障り:聞いて気にさわること。「―な話」「―な雑音」
耳立つ:(1)きわだって聞こえる。「ひときわ―・つ声」
       (2)耳ざわりになる。「ラジオの雑音が―・つ」
耳慣れる:いつも聞いていてめずらしくない。聞きなれる。
       「―・れた童謡」「―・れないことば」
耳遠い:(1)耳がよく聞こえない。「―・い老人」
       (2)聞きなれない。「―・い外国語」
早耳:他の人より早く聞きつける・こと(人)。
馬の耳に念仏:他人の意見や批評を聞き流して気にとめないこと。
       馬の耳に念仏。(参)李白の詩から。
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