耳鼻咽喉科・アレルギー科・気管食道科 医療法人社団くまいクリニック

鼻アレルギーと鼻茸


鼻茸(はなたけ;鼻ポリープ)というのを御存知ですか?前回お話した副鼻腔(上顎洞、前頭洞、篩骨洞、蝶形骨洞など)の粘膜が腫れて鼻の中に飛び出してきたもので、竹の子ように取っても取っても出てくるため、鼻茸と言われています。鼻茸には、副鼻腔炎(いわゆる蓄膿症)の慢性炎症によって粘膜が腫脹した炎症性鼻茸と、鼻アレルギーにより副鼻腔粘膜が腫脹したアレルギー性鼻茸があります。特殊なものでは、アスピリン喘息(アスピリンなどの消炎鎮痛剤により発作が誘発される喘息)患者で重症のアレルギー性鼻茸を合併していることがあります。どちらの鼻茸も鼻の空気の通り道をふさぐために、大きくなると鼻つまり(鼻閉)を起こし、臭いのもと(嗅素)が通リにくくなるとニオイも感じなくなります。鼻閉でいつも口をポカンと開けているため、口腔、咽頭が乾き咽頭炎もおこしやすくなります。鼻茸を病理組織学的に調べると、炎症性鼻茸は好中球、リンパ球などの炎症細胞が多く見られ、アレルギー性鼻茸には好酸球が多く見られます。アレルギー性鼻茸の方が発育が早いなど、でき方や成長過程にそれぞれの特徴があり、現在研究が進められています。治療は、手術的に切除することが昔から行われてきました。炎症性鼻茸は、副鼻腔の粘膜を可能なかぎり取ってしまう副鼻腔根本術(口の中から上顎の骨を削る手術)と鼻の中からの手術を併用すればかなりよくなります。アレルギー性鼻茸ではほんの少しの粘膜が残っていてもすぐに元にもどってしまうので、手術だけで治すのは難しいことが多いようです。そこでアレルギー性鼻茸と診断がつけば、鼻の中から鼻茸をできるだけ切除する手術と、手術前後にアレルギーの治療を併せて行うのが効果的です。手術後、再び鼻茸が成長することもあり、何回かの手術が必要となることがあります。小さな鼻茸は外来で切除することもできますが、術後の出血が起こることもあり、短期間(2、3日)の入院が必要かもしれません。昔、鼻茸の手術をしたのに、すぐまた鼻がつまってしまい、あきらめてしまっている人は意外と多いようです。鼻茸を吸い込んで安全に切除する新しい器械を使った手術も可能ですし、麻酔方法も進歩していますので、鼻茸で悩んでいる方、もうあきらめている方は、是非、専門医に御相談下さい。

ページトップへ